信用情報不正照会:消費者金融50業者を、除名などの処分
消費者金融の顧客の信用情報を不正照会したとして消費者金融業者約50社が、加入する情報センターから過去数年間に除名などの処分を受けていたことが分かった。この情報センターは、信用情報を管理する「全国信用情報センター連合会」加盟の1社。処分時の調査で、信用情報が就職の採否に使われたと疑われるケースが確認されたほか、ブローカーへの売却を認めた業者もおり、いずれも顧客に無断で情報が流出したとみられる。
来春の個人情報保護法完全施行を前に、ガイドライン策定を進める金融庁内の議論に影響を与えかねず、全情連は不正照会の実態調査を始めた。情報センターは地域ごとに全国33カ所に設置。会員の消費者金融業者は、顧客への多重貸し付け防止を目的に、全情連が管理する顧客約1,931万人の名前、勤務先、借入・返済状況などの個人情報を店舗の端末から引き出せる。複数の関係者によると、今回処分が判明したセンターは、目的外利用を防ぐため、管轄の業者の照会をモニタリングし、不審な照会記録を調査した。(1)ある端末から特定企業の従業員数十人の情報を短時間に照会(2)業者の営業地域外に住む多数の人の情報を照会一一などの不正行為を確認、業者を聴取した上で、除名や一定期間の情報提供停止処分にした。
顧客からの苦情受け付けから不正がわかり処分したケースもあった。ある顧客は消費者金融の利用を理由に就職内定を取り消されたと訴え、「取り消し理由で借入額も説明された」と説明。金額は登録された情報と同じで、信用情報が企業に渡ったとみられる。照会した業者は他の企業の従業員も多数照会しており、処分した。また、別の業者はセンターの聴取に「社員が、何者かわからない人間に情報を売却した」とブローカーへの提供を認めた。しかし、ブローカーとは連絡が取れず、流出先は解明できなかった。ある会員業者の関係会社は出資法違反容疑で摘発され、センターはヤミ金融にも信用情報が流れたとみている。業者は処分を受けると照会できなくなるが、不正を指摘された段階で自主退会する業者もいる。