別れさせ屋に損害賠償請求
夫を不倫相手と別れさせるよう依頼したのにまともな調査をしなかったとして、関西在住の女性が「別れさせ屋」に約600万円の損害賠償を求めた訴訟が大阪高裁で和解していたことが2日、分かった。大阪市の探偵会社が解決金150万円を支払う内容。女性は400万円余りの費用を支払ったが、結局、何の解決にもならなかった。繁盛している半面、苦情も激増しているこの業界の危うさを象徴するケースといえそうだ。
「別れさせ屋」は2001年の民放ドラマをきっかけに広まり、手掛ける業者は1,000社に上るとの指摘もある。一方で、報酬などをめぐってトラブルが絶えず、警察庁が業界団体を通じて指導に乗り出している。訴えによると、女性は会社経営の夫と従業員の不倫に悩み、01年5月、探偵会社に相談。「相手を土下座させ、金も取れる」と言われ、約300万円支払って「別れさせ工作」を依頼した。その後、同社から「2人は片時も離れない。最高に難しいケースだ」と報告があり、盗聴機を探すなど「特殊電波探偵」名目で約150万円を追加で払った。
しかし、4カ月後に届いた報告書には、夫や相手女性の尾行の結果が記載されているだけで、「別れ工作」について全く言及していなかった。女性は「契約内容と全く違い、金をだまし取られたのと同じ」と提訴。探偵会社が反論しなかったため、1審・大阪地裁は訴えをそのまま認定した。女性側は同社の資産を仮差し押さえたが、預貯金数万円と資力が乏しかったため、控訴審で和解に応じた。